№112. 業務システムのオフショア開発

最近(2023年4月)、マレーシアで発行されている邦人向け週刊フリーペーパーに当社[以下:(CSL)]の広告を出した。 日系企業の人事異動の時期なので、新たにマレーシアに赴任してくるマネージャ層への認知度を高めようといった狙いだ。 小さな広告スペースとはいえ、毎週発行で3ヶ月連続の掲載なので、そのフリーペーパーの認知度からすると、意識するか否かは別として、 殆どの日系企業人が(CSL)の広告を目にすることになる。 まあ、(CSL)は一般消費者相手に大量にモノを販売するような企業ではなく、業務システム等のソフトウェアを開発する会社なので、 潜在的ニーズを持った企業人に「へー、マレーシアにもこんな会社があるんだぁ〜!」といった程度の認識を抱いて貰えば、今回は「目的達成」なのだ。 しかし、その検証方法が問題だ、広告を出したリアクションとして、自社へのセールス電話が多くなってしまい、業務の邪魔になるようなことを避けるためもあり、敢えて電話番号は明記していない(裏の理由はこちら)。なので、「社長!これだけ問合せ電話がありました!」的なアナログ検証は無理だ。まして、ちょっと興味がある程度では、わざわざメールをしてくれるとも思えない。ただ、強い興味や関心があるひと、自社のシステム化を真剣に検討しているような企業人は、相手にコンタクトする前に、必ずWebsiteを閲覧して諸々チェックする筈だ。なので、こちらは Google Analytics というツールを使って、どこから、どれだけ、なにを検索して来たかを調べれば良い。 日頃、ほぼアクセスはゼロに近いオワコン・サイトなので、変化があれば如実に表面化する筈だ。 このIT業界人なら至極当たり前な方法で、広告が出たあとの一週間を注視していたのだが、意外な事実が判明した。 なんと予想に反してアクセスはマレーシアからではなく、日本からが増えていたのだ。


極めて単純に考えると「日本から(CSL)へのアクセス」は「このコラムを読みたいから」。。。ではなく、「オフショア開発先を探している会社がある」ということだ。 おそらくだが、アクセス元は「人件費のアップを余儀無くされ出した日本の状況に嫌気して、未だ比較的安価な海外の労働力の確保を狙った中小ITベンダー」 ではないだろうか。 そう言えば(CSL)の親会社の日本(CSS)にも、大手のお顧客様から「人件費等、現状で無理しているなら値上げも考えますよ〜!」といった、天使からの手紙的な通達が複数来ていた。 マクロ経済的に言えば「人件費を物価高に連動させますので、値上げお願いしま〜す!」と、手を挙げればセオリー通りなのだろうが、単価を上げれば数量で調整が入ることくらいは、皆、経験的に知っているので、人材確保のために給与は上げつつも、素直に顧客に値上げを言い出せない会社が多い筈だ。 今回の「日本からのアクセス」は、そんな背景からと想像したが考え過ぎだろうか。 前置きが長くなったが、前述のような中小ITベンダーさんが(CSL)に対して質問したいと思われることを勝手に想像して想定QA集を書いてみた。 家族5人でマレーシアに移住してから、2023年3月末でちょうど満24年。4月からは25年目、四半世紀と言えば大袈裟だが、ダラダラと長く暮らしているからこそ分かることもあるので、範囲はマレーシア限定だが、その経験も踏まえて書いてみよう。


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<<日本→マレーシア オフショア開発 想定QA集>>


【やりとりに使用する言語】
マレー語、中国語のネイティブも在籍しているが、現実的な線としては日本語か英語。
ただ、日本語の場合はブリッジSE費用が発生する。


【依頼時のドキュメント精度】
実態はお客様によって千差万別なため、極力フレキシブルに対応する。
MS-Accessのmdbファイルをコピーして「これを元にして、機能を拡張してWEB版にしたい!」といったご要望を承った経験もあり。


【契約通貨】
日本からご発注の場合は、お見積からお支払いまで、一貫して為替リスクのない日本円(JPY)を推奨。
ただし、お振込の際の海外送金手数料はお客様負担。


【成果物(納品物件)】
ご指定の物件を揃えるが、ご要望が多いと費用と期間も比例してアップする。
お客様にとって必要最小限の物件を納品出来ればと考えている。
極端に生産性に影響するようなご要望はお断りしている。


【NDA(秘密保持契約)締結】
必要に応じてNDA(秘密保持契約)を締結する。


【実施可否ご検討用ラフ概算見積】
引き合いを頂いたあと、こちらでご要望の概要を把握し、大まかな見積(概算)提示する。
目的は内容や金額感等双方の認識に乖離が無いかを確認し、以降の工程へ進んで良いかの判断をするため。


【仕様説明・把握】
上記の概算見積段階で「実施」が大筋合意されたと見做し、詳細仕様を説明頂き当方で内容を把握する。
その際には概要設計の工程を開始して、こちらで内容をサマライズしたドキュメントを作成する場合もある。


【詳細見積〜ご発注】
明確になった機能、品揃えを元に正式な見積書を提出し、内容、金額、支払条件等調整を経て正式契約の締結となる。


【開発言語】
当サイトの会社概要ページの使用コンピュータ言語欄に記載されているもの。
(記載のない言語の場合は別途ご相談)


【開発フレームワーク、コーディング・ルール】
基本的にガチガチのルールは対応不可のためお断りしている。
指定なき場合は(CSL)内の自主ルール、フレームワークを使用する。


【開発環境、推奨実行環境】
殆どの場合ターゲット環境と同等のテスト環境を(CSL)内に構築する。
本番実行環境としてはホスティングサービスやAWS等のクラウドサービスを推奨している。
((CSL)にとってもサポートし易い)


【進捗管理】
タスク毎の進捗管理はREDMINEというオンラインのツールを使用している。
「進捗報告」として定期的にExcelの表でレポートすることも可能。


【都度打ち合わせ】
仕様確認、進捗報告等々のコミュケーションはリモート会議ツールによって必要な都度行う。
お客様によってはクアラルンプール迄視察ついでに来られて打ち合わせする場合もあり(大歓迎!)。


【ライセンス】
開発したシステムのライセンスはお客様に帰属し、(CSL)では開発後にライセンス保持を主張しない。
ソースプログラムやドキュメント等も一式引き渡す。


【現地(オンサイト)作業】
オフショア開発の性質上、基本は現地(オンサイト)作業は出来ない。
ただし例外的に、オンプレミス環境のお客様等に経費負担を頂き、初期導入等現地で対応する場合もある。


【運用開始後の不具合対応】
一定期間内(通常1年間)の不具合発生時は無償で対応する。


【運用開始後の改善対応】
既存のお客様の例では、事前購入チケット制の保守契約を締結して頂き、その範囲で対応している。
もちろんスポットでのご発注での対応も可能。


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以上、上記は勿論自社の営業目的で書いたのだが、ネタバレや逆効果が心配でもある。 まあでも、嘘や美辞麗句を並べても、メッキならそのうち剥がれるので、ありのままが気楽だ。 他の会社はどうかはわからないが、上記は嘘偽りのない(CSL)の実態だ。 そして、よく考えたらオフショア開発に限らず、マレーシア現地での開発も条件はほぼ同じなので、その際の説明資料にも使えそうだ。

もし、上記以外でも質問や助言があれば、気軽にメールmaekawa@cssnet.co.jpで連絡して欲しい。
私、けっこうレス早いですよ(ヒマか?笑)。


(№112. 業務システムのオフショア開発 おわり)


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